ハッ!ざまあみろ!お前のもくろみは見事に失敗したな!!

ニヤリと親父に視線を向けると、悔しそうに苦虫を噛み潰したような表情を返された。


「じゃ、俺はこれで」

こんな所にもう用はない。
さっさと結衣の元へ帰らなければ。

すっかり時間も遅くなってしまった。試験もとっくに終わってきっと俺んちで待ってるだろう。


そそくさと立ち去ろうとする俺に、藤堂蘭子が「三神さん!」と呼び止めた。


「ありがとうございました…。今までの無礼をお許しください…」

泣きはらした表情で言いながら、樋口さんと一緒に頭を下げた。


「いえ。どうぞ、末永くお幸せに」

ったく、ほんと散々だったぜ…。
結衣への暴言は許さねえが、まぁ、この場でどうこう言うのはやめよう。

素直に2人を祝福した。




それじゃ、と部屋を出て結衣に今から帰ると連絡しようとしたら、後ろから「銀次!」と呼び止められた。

……親父?

振り返ると、そこにはひどく不機嫌な表情で仁王立ちしている親父がいた。