それを見た親父が、再び樋口さんに声をかける。
「樋口、お前はどうしたい」
「社長……あの…」
口ごもってなかなか言い出せない樋口さんに親父は一言「言え」と短く命令する。それに、意を決した様子で樋口さんは真っ直ぐ親父の目を見つめた。
「一度身を引いた自分が申し上げるのは厚かましいと重々承知ですが……私は、蘭子さんをお慕いしております。許されるなら、……諦めたくはありません」
よく言った!!樋口さん!!
どこまでも控えめな言い方だったが、まぁよしとしよう。心の中で拍手を贈りながら動向を見守っていると、藤堂社長は苦笑しながら立ち上がり、一方親父は腕を組んだままガックリと頭を下げた。
「三神さん、この2人のワガママを許してやってもいいでしょうか…」
藤堂社長が申し訳なさそうに言うと、親父は「えぇ…」と落胆した表情で答えた。
「銀次くんもすまないね…。巻き込んだ形になってしまって」
「とんでもない!」
思えば最初からこの2人が変な意地を張らなけりゃ良かっただけの話しだが、まぁ結果オーライだ。
「やったじゃねえか樋口さん!藤堂蘭子!これで親父たちの公認じゃねえか!な?な?」
これでやっと俺も解放される…!!
盛り上がって2人の肩をバンバン叩き祝いの言葉を投げかける俺に、親父が「銀次、うっとうしいから出て行け」と静かに呟いた。
「樋口、お前はどうしたい」
「社長……あの…」
口ごもってなかなか言い出せない樋口さんに親父は一言「言え」と短く命令する。それに、意を決した様子で樋口さんは真っ直ぐ親父の目を見つめた。
「一度身を引いた自分が申し上げるのは厚かましいと重々承知ですが……私は、蘭子さんをお慕いしております。許されるなら、……諦めたくはありません」
よく言った!!樋口さん!!
どこまでも控えめな言い方だったが、まぁよしとしよう。心の中で拍手を贈りながら動向を見守っていると、藤堂社長は苦笑しながら立ち上がり、一方親父は腕を組んだままガックリと頭を下げた。
「三神さん、この2人のワガママを許してやってもいいでしょうか…」
藤堂社長が申し訳なさそうに言うと、親父は「えぇ…」と落胆した表情で答えた。
「銀次くんもすまないね…。巻き込んだ形になってしまって」
「とんでもない!」
思えば最初からこの2人が変な意地を張らなけりゃ良かっただけの話しだが、まぁ結果オーライだ。
「やったじゃねえか樋口さん!藤堂蘭子!これで親父たちの公認じゃねえか!な?な?」
これでやっと俺も解放される…!!
盛り上がって2人の肩をバンバン叩き祝いの言葉を投げかける俺に、親父が「銀次、うっとうしいから出て行け」と静かに呟いた。


![いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/12250-750.jpg?t=1676623078)
