………はいぃっ!?

藤堂蘭子の言葉に耳を疑った。


「蘭子がいいならワシは構わんぞ!」

「おい銀次!蘭子さんからそのように言わせるなんて情けない!…しかし、何だかんだ言いながら仲良くやってたとはな!」

呆然と突っ立っている俺をよそに、藤堂社長や親父はひどく楽しげだ。




……おいおいおいっ!!何言ってんだコイツはっ!!

「てめぇっ!!約束が違うじゃねえかっ!!」

思わず声を張り上げると、藤堂蘭子はこちらを一切見ないまま「状況が変わりましたの」と小さく呟いた。


「何の状況だよっ!!ふざけんじゃねえぞ…」

「だって…!!もう、こうするしか…!!結婚するしかないのよっ!!」

「はあっ!?意味が分からねえ!!」

「分からなくて結構!!もう決めたのよ!!」


怒りをあらわにする俺に藤堂蘭子もだんだんムキになっている。お互い声を上げて大喧嘩する俺たちに、親父たちは唖然としている。



そのうち、藤堂蘭子の肩が震え始めた。

「泣いたら許されると思ってんのかよ」


そんな俺の言葉に、藤堂蘭子はバッ!と振り向きやっとこちらを見た。睨みつけるような視線を向けてくるが、その目には涙が溜まっていた。