こうして、半ば納得いかないまま自宅へと向かった。

でも、まぁいいか…。結衣が俺んちに来てくれるんだ。素直に喜ぼうじゃないか。

それに、何かあったとしても結衣が俺を拒否してるわけじゃないから、きっと悪いことじゃない……と思う。


あれこれ考えても仕方ないので、楽観的に考えることにした。
そうしたら、自然とにやけ顔になってしまう。

車から降りて結衣の手をとり、2人一緒に並んでマンションのエントランスまで歩いていた。



その時。


「三神さん」


暗闇の中から、甲高く、そして、無感情な声が聞こえ咄嗟に振り向いた。

俺をひどく不快にさせるこの声…。


目をこらして後方を見ると、マンション前の私道に黒塗りの高級車が停車している。

そしてそこには、白い清楚なワンピースに身を包み、穏やかに微笑む藤堂蘭子が立っていた。