「も、もしもしっ!?」

慌てて電話に出ると、少し緊張気味の結衣の声がした。


『先生？……今、大丈夫？』

「あ、ああ！どうした!?何かあったか!?」

結衣が連絡してくるなんて、何かあったに違いない!!どうしたんだろうか!?大丈夫だろうか!?焦りながら結衣の言葉を待った。


『あのね…、今、生徒指導室にいるの…。時間が大丈夫なら、少しだけいいですか？』

「ああ、すぐ行くから」

聞きながらすでに足は生徒指導室に向かっていた。

結衣が俺を呼び出すのは初めてだ。
嬉しい反面、どうしたんだろうかという不安の方が大きい。結衣の声が硬かったからかもしれない。


緊張しながら足早に向かい、生徒指導室の扉をガラッ!と勢いよく開けた。


「結衣!?どうした!?大丈夫か!?」

「先生もう着いたの!?早かったね」


電話を切って一分も経っていない。数十秒で到着した俺に、結衣が驚いている。


「ああ、急いで来たから。それより何かあったか!?」

心配になって結衣に聞くが、姿を見たところ特に変わりない。
いつも通り、可愛い姿だ。


どうしたんだと心配する俺に、結衣は首を横に振りながら俺の前に立った。


「何かあったわけじゃないんだけど…」

「…だけど？」

言いにくそうにする結衣に続きを促した。何もないはずがない。一体どうしたんだろうか…。