どんよりと負のオーラを放つ俺に、教頭が遠くの方から声を張り上げ呼んでいた。

「三神君！校長がお呼びだぞ！」

「はあ…」

またか。なんだかイヤな予感がするな…。


おぼつかない足取りで校長室に向かい、小さく挨拶をしながらガラガラと扉を開けた。

やっぱり…。

案の定、藤堂蘭子が客用のソファーにお上品に座っている。


「銀次君！藤堂さんがお見えだよ！」


楽しげに言う校長の声には答えず、藤堂蘭子に軽く会釈した。

と同時に、思いきり嫌な顔をしたのがバレていたようで、俺の顔を見るなりクスッと笑っている。


「どうやらあまり歓迎されていないようですわね」

分かってるならさっさと用件を済まして帰ってほしい。そう視線に込めて藤堂蘭子を見た。
自然と眉間にシワが寄ってしまう。


「…何か御用でしょうか？」

穏やかじゃない俺の様子に、何故か校長が慌て出し説明をし始めた。


「ま、まぁ銀次君！藤堂さんがね、うちの学校を見学したいそうだよ。案内してやってくれんかね！」

「……はい？」


何を考えてるんだ…？このお嬢様は…。