「三神さん、この結婚にあなたの意思は関係ないですわ」

お分かりでしょ?とニコリと微笑みながら俺に向かって言い放った。



「…何だと?」

親父を睨んでいた視線を藤堂蘭子に移した。それにまったく怯む様子もなく、再び俺に続けて言う。
上品で丁寧な口調だが、とても強気だ。


「私は遊びに来ているのではありません。あなたと結婚するためにここへ来ているのです」

「藤堂さん、何度も言うようですが、」

「そのお話しができないのなら、今日は失礼させて頂きます」


俺の言葉なんて聞かないまま、藤堂蘭子は立ち上がり、隣の藤堂社長に声をかけた。


「お父様、また日を改めましょう」

「し、しかし蘭子…」

「行きましょう、お父様」


娘には逆らえないのか、藤堂社長はうっと言葉に詰まりながらもゆっくりと立ち上がった。


「では、また近いうちに…」


藤堂社長が親父に言葉をかけるが、それを遮るように藤堂蘭子が一歩前に出た。


「次にお会いする時までに、諸問題は片付けておいてください」


そうニコリと微笑んで、この部屋から出て行った。


ムカつく…この女……