突然遮った俺に、親父は鋭い視線を向けた。

余計なこと言うんじゃねえぞ…、という顔をしてこちらを睨んでいる。

しかし、そんなこと知ったこっちゃねえ。親父の視線を無視して言葉を続けた。


「僕の知らないところで話しが進んでいるようですが、このお話し、お受けすることはできません」


俺が放った言葉に、目の前に座る藤堂社長がポカンと口を開けている。


「…三神さん、一体どういうことでしょうか……」


訳が分からないといった表情で、親父に説明を求めている。


「…銀次、これは決定事項だと言ったはずだ」

「決定事項も何も、婚約の話はあなたの口から一切聞いていません。それに、言ったはずです。紹介したい女性がいると」

「銀次!!」

お互い睨みあっていると、藤堂社長が戸惑いながら口を開いた。


「三神さん、お話しが違うようですが…」

「このバカ息子の言うことは気になさらんでください」

「おい!!ちょっと待って…」


三者三様の思いが交錯する中、今まで何も言わず見ていた藤堂蘭子が口を開いた。