「銀次、こちらは藤堂蘭子さんだ。昼に会ったそうだな」

「ええ…」

会ったそうだな、じゃねえよ!!

1人だけ不穏な空気を放ち、親父を睨みつけながら答えた。


「学校では突然に申し訳ございませんでした」

先ほどまで黙っていた藤堂の娘が申し訳なさそうに謝ってきた。


「いえ…」

そう交わしただけで、また2人とも黙り込んだ。そんな俺たちを見て親父たちは笑う。


「まだ2人とも緊張しているみたいだな」

「そうですね。まあ次第に打ち解けてくるでしょう」


当事者の2人を除いて、なんとも穏やかに話を進めている。


「で、三神さん。今後の予定はどうお考えですか?」

「まあ、2人の様子を見つつ、といった感じですが、まあ遅くても来年の春までには式を挙げさせたいな、と」

「そうですか。不束な娘ですが、どうぞよろしくお願い致します」


おいおい。

本人への説明なしにもうそこまで話は決まってんのかよ。いい加減ぶち切れそうだ…。


「……すみませんが」


勝手に盛り上がっている2人の会話を中断させた。