「結衣、飯は?」

「私は家に帰って食べます。今日はお母さんがいるから」

何だ、つまんね。
まあでも仕方ないか…。

「そっか。じゃあまたお母さんが夜勤の時には一緒に食うか」

「はい」

ニコッと笑う結衣に微笑み返した。はい、と素直に返事をするなんてかなり珍しい。
今日は結衣も機嫌がいいみたいだ。




いや、ちょっと待て。………何で機嫌がいいんだ?

いつもの結衣なら「いえ、結構です」とか言うはずなのに。

ふいに高杉の顔が頭に浮かんだ。


「……何か、楽しいことでもあったか?」

再び不安が沸き起こる。
高杉が関わっていると考えたら、この上なく気に入らない。


急に硬い声になった俺に、結衣がキョトンと不思議そうに見上げ、そして、「はい」と僅かにハニカんだ。