抱き締めたままのこの腕……どうしようか…。

最高に喜ばしい状況なのに、あれだけ何もしないと約束してしまったため動けずにいる。

く、苦しい…。でも、我慢しなければ…。少しでも信用を取り戻さないと。


そう思えば思うほど、身体は勝手に動くもので…。

気が付けば結衣の唇を塞ごうと、顔が自然と引き寄せられていった。


……ハッ!!

「ぅわッ!」

ダメだ!!やめろ銀次!!

自分の無意識の行動に驚いて、両手をバッと上げ慌てて身体を離した。

このままキスをしてしまえば、確実に止まらないだろう。


突然離れた俺を結衣は少し赤い顔のまま見上げた。


「先生…?」


「い、いや…何もしないって約束したからな…。触るとやばいから…」

そんな俺の忍耐を結衣はクスクスと楽しそうに笑う。


「やっぱり、先生は優しいですね」

「バッ…!煽るな!!」

こんな時に限って…!!

結衣の天然攻撃に気が狂いそうになりながら、なんとかこの状況を耐え忍んだ。