程なくして車は自宅マンションに着き、結衣を部屋に招き入れた。

適当にソファーに座らせ、お茶の準備。いつ来ても大丈夫なように、結衣用に紅茶を買っておいた。


それにしても…結衣は何も聞いてこねえな…。聞かれるのを待っていたけど、気になってないのだろうか…。

それはそれでヘコむ。ちょっとは関心を持ってほしい…。


「結衣、さっきの…旅館にいた2人、あれが前に話した俺の兄弟」

結局自分から切り出した。はい、とカップを渡しながら、結衣の隣に座る。

このまま実家のことも話せれば…。


「あぁ…。ビックリしました。まさか先生のご兄弟も来られてたなんて」


結衣は苦笑しながら、ぴったりと横についた俺との間隔を少し離して座り直した。



……おい。



「なんで離れるんだよ」

「……だって、近かったから」

これぐらいいいじゃねえか…。いい加減泣くぞ…。


……ま、まあ今はいい。それより大事な話をしなければ。

2人の隙間が寂しかったが、気を取り直して話を進めた。