「なぁなぁ銀ちゃん!3兄弟なの!?」

「あの2人彼女いる?」

「ていうか、銀ちゃん長男?次男?末っ子?」


あのバカ兄弟のおかげで、帰りのバスの中、案の定生徒から質問の嵐に巻き込まれていた。


「三神くん、ずいぶん賑やかなご兄弟だね」

心なしか教頭の機嫌が悪い。挨拶を途中で中断されたからだろう。


もう…勘弁してくれよ…。
ひたすら苦笑いでかわしている中、チラリと結衣が座っている席に目を向けた。

こちらの様子を気する様子もなく、窓の外に目を向けたまま。

……俺のこと、気にしてるだろうか…?

あの騒動の最中、実は結衣の方に目を向けることができなかった。

実家のことを隠してる後ろめたさから、無意識に心のどこかでビビッていたんだと思う。


兄弟の話はしたことあるが、家業の話まではしていない。全部打ち明けたあとに紹介するつもりだったのに、まさかあんな形で家族を見られるなんて…。


いつかは話さねえとな…。

結衣は受け入れてくれるだろうか…。俺が背負っているものを理解してついて来てくれるだろうか…。

身を引いて、離れていかないだろうか…。


それが怖くて、いまだに話せないでいた。