……何言ってんだ?俺は。

自分の歴代の彼女ですら自宅に入れたことはない。



ほら、桐島も驚いている。

「…い、いえ!そこまで迷惑はかけられません。もう、本当に大丈夫ですから」

ありがとうございました、とお礼を言われる。


断られたことに軽くショックを受けながらも、

「鍵ちゃんと締めろよ?窓は開けるな、電気も消しとけ。チャイム鳴っても絶対出るな。それから……」

と、散々注意して、桐島に呆れられながら帰った。…名残惜しかったけど。


本当は彼女を1人にしたくない。無理やりにでも連れて帰りたかった。


「…教え子だから…心配なだけだ…」

初めて沸き起こった感情に、そう自分に言い聞かせる。


その言葉とは裏腹に、心臓はドクドクと高鳴っていた。