か細く呟くように、しかし、はっきりと聞こえたその言葉に全身がピキッと固まった。



……えっ…い、ま…


完全に諦め油断していたから、不意打ちすぎるその言葉に心臓がドクドクと騒ぎ出した。


「…結衣?」

もう一度確かめたくて覗き込もうとするが、結衣は恥ずかしいのかギュッと俺の首元に顔を押し付け隠そうとする。

その行動が嬉しくて、可愛くて、身体の奥底から湧き上がる衝動を抑えられない。


今、言ったよな…?半分言わせた形になってしまったが、僅かに耳に届いたその言葉は痺れそうなほど甘かった。


「もう1回言って?」


そんな俺のワガママに、結衣はブンブンと首を振る。まぁ当然だろう、とクスクス笑う俺に結衣は顔を上げた。


「も、ムリです…」


少しだけふてくされた表情になっている結衣に笑い、引き寄せられるようにゆっくりと唇を重ね合わせた。