聞いていた通り、本当に朝から夜までぶっ通しで勉強は続いた。

これは過酷だ…。結衣は大丈夫だろうか…。

周りを見ると生徒のほとんどがぐったりしていた。結衣を見れば、他の生徒と同じく机に項垂れている。


あぁ…抱き締めて褒めてあげたい…。


親バカならぬ、結衣バカと化した頭でその様子をウズウズしながら見つめていた。

しかしそんなこと出来るはずもなく…。そもそも結衣に全然接触できていない。前日に、結衣から近付くなと注意されていた。

俺のことだから、うっかり近付くと何かやらかしてしまうと思ったらしい。

結衣の判断は正しいが、悲しすぎる。

でもようやく勉強が終わったので、これからは夕飯、そして風呂に入って寝るだけだ。結衣の疲れも取れるだろう。本当なら俺が癒してあげたいところだが、そこはひたすら我慢…。




賑やかな夕飯の時間。
一応クラスごとに別れているので、結衣がいる場所から割と近くに座れた。
俺の隣は芝内先生、そしてなぜか教頭先生。おそらく、温泉目当てについて来ただけだと思われる。生徒もいるというのに教頭はギャーギャーうるさい。


「三神くん!君はほんとにイイ男だねぇ!そろそろ結婚とかどうなんだね?あの例のセクシーで美人な彼女と!」

「いや結婚はまだ…というか、あれは彼女じゃありませんから」

いまだに教頭は沙織が俺の彼女だと思いこんでいる。


「じゃあウチの娘はどうかね!俺に似て美人だぞっ!ガハハハハ…」

酒も飲んでないのによくそこまで騒げるな…。

教頭の笑えない冗談に付き合わされてうんざりしているなか、結衣がいる方から話し声が聞こえてきた。