「もしかしてまた彼女のことですかぁ〜?」


「えぇまぁ……ちょっと思い通りにいかなくて…」


キス以上ができない、とまさかストレートに言うわけにはいかない。さすがにそこまで話せないし、第一、こんな男子高校生みたいな悩み恥ずかしすぎる。


「三神先生って女性の扱いに慣れてそうなのにぃ〜。意外ですねぇ」


「……そんなことないですよ。分からないことだらけです」


確かに自分では慣れていたつもりだったが、結衣が相手だとどうすればいいか全然分からなくなる。嫌われるのが怖くて、向こうが少し警戒を見せるとビビッて行動を抑えてしまう。
片思いだった頃より慎重になっているかもしれない。
そんな情けない自分に、はぁ、とため息が出た。


「三神先生ぇ!女は押しに弱いんです!少しくらい強引に行った方がいいんですよ!」


ふふっ、と栗原先生は笑っているがきっと心の中では呆れているだろう。


「…強引、ですか?でも…嫌われそうだ…」


「大丈夫ですよぉ!好きな人なら尚更!ドキドキして嬉しいですよ〜」

そういうもんなのかぁ、と栗原先生から女心を伝授してもらっている最中、田中先生が俺たちの間を割って入ってきた。