あれから時は流れ、学校の制服も冬服に変わった。
しかし、俺たちの関係は何の進展もない。相変わらずだ。

予想以上に結衣のガードは固く、あの手この手で近付こうとする俺を容赦なく跳ね除ける。

キツい…。
心は満たされているはずなのに、何なんだこの飢えた感じは…。


思えば、過去関係を持った女性の中でここまで手を出さなかったのは初めてだ。会ったその日に…、なんてことも今までは珍しくなかった。


まぁ、結衣は他の女と比べものにはならないけども。

でもいい加減もう待てねえぞ……。結衣には悪いけど、プラトニックな関係で満足できるほど俺は出来た人間じゃない。

大事にしたいと必死で自分を抑え込むその反面で、沸き起こる欲情はハンパない。


職員室で一人悶々とそんなことを考えている俺に、後ろから声がかかった。


「三神先生ぇ〜難しい顔してどうしたんですかぁ?」


「……栗原先生」


相変わらず何とも言えない喋り方だが、実は、栗原先生とは普通に会話できる仲にまでなっていた。

俺があまりにも皆の前でのろけるもんだから、完全に脈がないと諦めたらしい。

最近では女心について色々教えてくれ、アドバイスもしてくれる。俺の中で、空気が読めないウザイ奴から意外といい奴に昇格していた。