俺だと認識した途端、みるみる涙が溢れ、ヒックヒックと泣きじゃくった。

「…もう、大丈夫だから」

頭を撫でて安心させる。



しばらく時間が経ち、涙がおさまりかけた頃そっと声をかけた。

「……立てるか?」

まだ震える身体を支えて立ち上がらせ、落ち着かせようと車に連れて行く。


助手席に座らせ、扉を開けたまま俺はその横に立っていた。
桐島もまだ恐怖がとれていないのか俺のスーツをギュッと握ったまま。


「…ご…ごめんなさい…」

涙を溜めた目で謝罪してくる彼女を安心させるため、大丈夫だから、と頭を撫で続けた。



俺の心がざわついているのは無視して―――…