また煽るようなことを…。


「ダメだ」


覆われた手を払い、耳元で囁くと桐島の身体がまた硬直した。



「早く慣れろ」


この先、数え切れないほどキスをするだろう。その度に拒否されたらたまったもんじゃない。

桐島の返事なんか聞かないまま、微かに開いていた唇を塞ぐように奪った。先ほどの触れるようなキスよりも、少し深く。




「…んっ……」


その隙間から漏れる甘い声に、全身が痺れた。何度も何度も角度を変えながら、啄ばむようにキスを繰り返す。小刻みに震える身体をしっかり抱き締めて。


時折、怯えてないか、と瞳を見つめて確認すれば、ぼんやりと、すべてを俺にあずけたような表情で見つめ返される。

月明かりの下で見る彼女に陶酔され、口に、頬に、額に、次々と顔中にキスを落とし、抱き寄せた。



長いキスを終えて顔を離せば、桐島の意識が飛んでいるのが分かる。

それに小さく笑い、くたっと身体の力が抜けている桐島の髪を梳きながら、切実なまでに焦がれ続けた彼女が腕の中にいること確かめた。