しばらく歩き、とりあえず目に入った近くの公園に足を踏み入れた。
よし、誰もいない…。ここなら大丈夫だろ。

繋いだ手を引き、ベンチへと座らせた。

桐島もさっきより落ち着きを取り戻しており、大人しくしている。


「寒くないか?」

スーツの上着でもあれば貸すことができるのに、あいにくホテルに置いてきた。冷たくなっているかもしれない身体を気遣うと、桐島はふるふると首を振った。


「さっき、いっぱい走ったから…。それに…それどころじゃなくて…」

やっぱり赤い顔のまま、小さく呟いた。




だめだ……我慢できない…。

ベンチに座ったまま、再び桐島の身体を抱き締めた。そばにいるだけでも限界なのに、そんなこと言われたら抑えられないに決まってる。


拒絶されないのをいいことに、もう一度キスをしようとそのまま顔を近づけると、ムギュッと何かで口元を覆われた。



……何だ?
パチパチと瞬きしながら確認すると、桐島が手で俺の口を押さえ、抵抗している。



「何で!」


さっきは抵抗しなかったのに!大人気なく納得いかないように詰め寄ると、桐島も少しムキになりながら反抗してきた。


「だって…!!さ、さっきは不意打ちだったし…!!そ、それに…ただでさえドキドキしてるのに…私の心臓もちません…」


言ってて恥ずかしくなったのか、後半は弱々しい声でごにょごにょと呟いた。