言いようのない感動が身体中に走る。

彼女の表情をどうしても確かめたくて、惜しみながらも抱き締めていた腕をゆるめた。


間近でその愛しい顔を覗き込めば、涙で潤んだままこちらを見つめてくる瞳…。腕にはまだ華奢で柔らかな感触…。


「せんせ…?」


その甘い誘惑に逆らうことなんて出来ず、引き寄せられるまま唇を近づけた。





触れ合った瞬間、桐島の身体が硬直したのが分かった。何も告げないまま唇を重ねたせいで、おそらくひどく混乱しているだろう。それに心の中で小さく微笑み、でも離すもんか、と角度を変え、その甘美で柔らかな唇を味わった。




「……やっと、つかまえた…」


顔を離して小さく呟くと、桐島は真っ赤な顔で俯き、それを隠すかのように再び俺の胸に顔を押し付ける。

その行動がひどく愛しくて、嬉しくて、俯いたままでいるその頭に唇を落とした。


もう、すでに溺れそうだ…。
一生離れられない確信がある。この先、手放すことなんてあり得ないだろう。


やっと受け入れてくれたという事実を実感しながら、まだ微かに震えているその身体を今度は優しく抱き締めた。