「あーあ……」


夜空に浮かぶ満月を見上げながら、ぽつりと呟いた。


終わったな、俺の初恋…。

振られた、というより、受け入れてもらえなかった。最後まで、桐島からの言葉はなかった。


しかし、気持ちを伝えた今、後悔はない。再び大荒れするんじゃねえか、と思っていたが、意外なことに心はスッキリしていた。
これか…。清川も言ってたな。



帰り道、冷たい風にあたりながらとぼとぼ歩いていた。

桐島と出会ってからの約半年間を思い出していた。やっぱり今考えても、自分の暴走っぷりには引く。怖ぇよな、俺。そりゃ桐島も拒絶するわ。

ハハ…と1人苦笑した。



「……でも、楽しかったなぁ…」


少しずつ桐島の表情が引き出せているのが楽しかった。心を開いてくれているのが嬉しかった。

……まぁ、2人の距離が縮まっていると思ってたのは俺だけだったけど。


はぁ…と小さく息を吐いて、再び夜空を見上げた。