よし…。

再び気合を入れなおし、車を降りる。



アパートを見上げると部屋の電気が点いていた。

家にいる……。

母親は今日夜勤だと言っていたから、おそらく桐島1人だろう。


玄関の前まで行き、フーッと深呼吸をした。

心臓がぶっ壊れそうなほどドキドキと鳴っている。あらゆる想いが胸を占め、息苦しい。


ここまで来て逃げ出すわけにいかない。
震える指先でチャイムを押した。






―――――――ガチャ…



しばらくすると、ゆっくりと扉が開き、ラフな格好をした桐島が顔を覗かせた。

1日ぶりに見た愛しい人の姿に心が震える。


俺の顔を捉えた瞬間、桐島は目を見開いて固まった。