沙織の説教じみた励ましに助けられ、心が奮い立つ。

愚かな自分を洗い流すようにシャワーを浴び、すっきりと身を清めた。

……もう、どうにでもなれ。

決意をした俺は、もう後には引くつもりはない。気合を入れてホテルを出た。




あぁ…心臓がバクバクする…。気持ちを伝える緊張感、再び拒絶されないかという恐怖感が身体中を駆け巡る。

…どうしようか……。桐島に会ったら、まず何を言ったらいいのか…。

とりあえず、今までの不徳な言動を謝って…拒絶した直接の原因を聞いて…気持ちを伝えて……そんで…。


桐島の家に向かうタクシーの中、言うべきことをぐるぐると順序立てていた。

本当なら今日の今ごろは桐島と食事をしていたはずなのに。まさかこんなことになるとは、と1人悲しく笑った。

振られるどころか、会話をしてくれない可能性もあるな…。そうなったら、清川にでも慰めてもらうか…。失恋した仲間同士。


後ろ向きなことしか考えられないうちに、いよいよ車は桐島の自宅前に着いた。