何も考えらんね……。

あれからどうやって学校を出たのか記憶にない。


今はただ、街中を目的もなくフラフラと歩いているだけだった。


なんか…すべてがどうでもよくなった気分だ……。


家に帰る気力もなく、ふと目に入った小さなバーに吸い込まれるように足を踏み入れた。


ほの暗く小じんまりとした店内には、年若いバーテン1人と客がポツポツいるだけ。


「スピリッツを。何でもいい、ストレートで」

カウンターの端に座り、とにかくアルコール度数が高い酒を頼む。

酒で全てが流せるわけではないが、何かに頼らずにはいられなかった。


…自暴自棄とはこのことかもしれない。今まで自分の人生には無縁だったこの言葉に小さく笑い、ただひたすらあおるように酒を飲み続けた。




「―――大丈夫ですか?」


途中、警告を含ませたバーテンの声が遠くで聞こえたような気がした――――。