もうコイツに用はねぇ。聞くだけムダだったぜ。

長々と文句を垂れる清川を残し、さっさと教室から去ろうとした。



「ま、なんだかんだ言ったけどさぁ…実際のところ、勝算はなさそうなんだよねぇ…」


ため息混じりにぼそっと呟く清川の声に足が止まる。


「……どういうことだ?」


振り向くと、さっきの勢いはどこに行ったのか、というほど寂しげな表情で遠い目をする清川がいた。



「なんかさ、……好きな奴、いるんだって」


清川はこちらを見て、苦笑した。


「………好きな奴?」


「うん…。だから、俺の想いには応えられないってさ」


あーあ、と落ち込みを隠すかのように明るい声を出した清川の隣で、俺は、急激に身体が冷えていくのを感じた。