「やだっ!」

相変わらず暴れる桐島に、

「ダメだ、誰もいない家に帰せるわけないだろ!……今日はここで寝ろ」

俺が看病してやる、と真っ直ぐ目を見て桐島に言った。

「…ダメ……」

か弱い声で呟く桐島がハァハァと息を切らしている。興奮して暴れたせいで、かなり体力が奪われてしまったのだろう。

「…ダメだ。もう観念しろ」


寝室の扉を開け、ベッドの上に桐島をそっと下ろした。

もう抵抗する気力も体力もないのか、桐島はぐったりと横たわったまま。


「俺がついててやるから。安心して寝てろ」


布団をかけて眼鏡を外し、その熱い頬をひと撫でして寝室を出た。