自宅前まで着き、どうにか鍵を取り出そうともぞもぞ動いていると、ん……と桐島が目を覚ました。


「………ぇ?…何!?……先生!?…えっ?どこ?」

俺の顔、目の前のドア、辺りの光景をキョロキョロ見ながら桐島がパニックになっている。


「ここ、俺んち」

そうニッコリ微笑むと、桐島がポカーンと一瞬固まり、その後、見事に慌て出した。


「や…!えっ何で…!?………やだ!降ろして!!」

ようやく今の状況が理解できたのか、桐島が暴れ出した。

「うわっ!ちょっ…やめろ!暴れるな!」

桐島を落とさないようにしっかり抱え、急いで鍵を取り出す。

端から見りゃまるで誘拐みてぇじゃねぇか!


ガチャガチャと乱暴に玄関のドアを開け、部屋の中に飛び込んだ。



悪いが桐島、今のお前に決定権はない。
俺が手離すわけないだろ。