いつまでもこんな所にいられない。
早く部屋に運ばなければ…。

ぐったりしている桐島の膝裏に手を入れ、よいしょ、と抱えて運び出した。



……軽いな。こいつちゃんとメシ食ってんのか?
桐島を抱き抱えながら思う。
柔らかな身体が、今、俺の手の中にある。まさかこんな形で桐島を抱くとは…。

……素直に嬉しい。



まだ起きない桐島を優しく抱えて、エレベーターに乗り込む。

「…くっ!」

両手が塞がっているため、顎で最上階のボタンを押した。そこが俺の自宅の階。

そういえば桐島には何も告げずここに連れてきた。

まあ、今さら拒否されたところで帰すわけがないけど。