「あのっ、私の家になにか用ですか? 」 勇気を振り絞って聞いてみた。 「ここ、君の家だったんだね。俺、隣に引っ越してきたんだ。成田 涼(ナリタ リョウ)って言うんだ。よろしくね」 「そうだったんですか…あっ、私は篠塚 由姫(シノズカ ユキ)です」 涼さんはニコッと笑い、左手を差し出した。 「よろしくね。はい、握手」 「えっ? あっ、はい」 緊張しながら、右手を差し出した。 そっと握られた手は、 とても温かかった。 そして普段男の人と触れ合わない私の心臓は、 爆発寸前だった。