―…
「小山さん、ちょっと体育館まで来てくれない?」
金髪のチャラそうな男子が話しかけてきた。
この人?と思ったけど胸元の名札には「冬島」と書いてある。
【早川】くんの友達らしい。
その早川くんの友達の「冬島」って人にあたしはついていった。




―体育館―
体育館の隅っこの方でその早川って人は直立不動で壁を見つめて立っていた。
―・・・・なんか危ない人なのでは。不安があたしの中でよぎる。
「…じゃ、俺はここで・・・・」
そう言って2人きりにさせようと冬島くんは体育館から去ろうとしていた。

「ちょっと待って!!!!!!」
直立不動で壁を見つめていた早川くんがこちらを向いて叫んだ。
遠すぎて顔がまだよく見えない・・。
「なんだよ、2人きりの方がいいだろ?」
冬島くんはため息をつきながら早川くんの方へ歩いていった。
あたしもその後をついて行く。

近くなってやっと顔が見えてきた。
『え、かっこいい!』そう思った瞬間、
「2人きりじゃ・・勇気ないし…」
少し小さな声でつぶやいた。

うわ・・おしい。かっこいいのに弱気すぎだろ、この人。