…嘘、でしょ?
「…って、んなどーでも良いこと覚えてるわけねーか」
そう言った先輩が、少し恥ずかしそうに、笑って。
先輩も…
覚えていて、くれたんだ…
あんな小さなこと、あんなくだらないようなこと、覚えてるのなんてあたしだけだと思ってた。
なのに――…
「おっ…覚えてます!
今日みたいにあたしが足を怪我して…保健室来てっ…それで…!」
「プッ…
んなそこまで必死になって言わなくても良いじゃん」
あたしを見てクスクスと笑う先輩を見て、何だかあたしは物凄く恥ずかしくなってしまった。
「…す、すいません…」
顔が熱い。
自分の顔が真っ赤になって体温が上がっていくのが分かる。
やばい、あたしはバカか。
先輩が偶然覚えていてくれたくらいで、こんなバカみたいに舞い上がるなんて。
「――でも、さ」
その声に、顔を上げて。
先輩と、視線が絡んだ。