やっぱりそう、思うから。




「…っ…」




顔を上げて、明菜を見ると。

明菜はキュッと、唇を噛み締めて。
今にも泣き出しそうな…そんな顔をしていて。


あ、れ…?
俺、なんか変なこと言ったっけ?





「あ…明菜?どした…?」





恐る恐る声をかけたけれど。

明菜はそんな俺の呼びかけには応えることなく、俯いたまま。


そっと手を伸ばしてきて、俺の背中に触れた。

そのままギュッと、腕を絡める。


触れてみて、初めて気付く人の温もり。


首もとに回してある明菜の手に、そっと触れた。


俺はずっと、この温もりに触れたかったんだ。


そのまま、俺はゆっくりと立ち上がって。





「よっ、と…落ちんなよ?」



「あ…はい、すいません…」





明菜をおぶって、保健室へと向かう。

保健室に行く途中、お互い無言で。
…あんなことがあった後だし、無言って、なんかキツいかも。





「…あ、のさ」