「足、痛いんだろ?
膝もケガしてるみたいだし。
早く乗れよ。保健室、連れてってやるから」
次の瞬間、明菜の顔がぼっと赤くなる。
…ふざけんな、俺だって恥ずかしいっつーの。
「えっ…先輩何言って…
そんな…あたし全然大丈夫なんでっ!」
顔を真っ赤に染めた明菜は、
一瞬何かを考えるような表情を浮かべた後、ぶんぶんと首を勢い良く横に振って俺にそう言った。
…挙動不審。
何考えてんだ?
「ほんとに大丈夫なんで…!
気にしないで…「俺が」
断り続ける明菜の言葉を、遮る。
…俺には、甘えて欲しい。
弱さを、見せて欲しいよ。
俺がいたって、明菜には何の得にもならないかもしれないけれど。
「…ごめん。
勝手かもしれないけど、厚かましいかもしれないけど…
明菜が大丈夫って言っても、
……どうしても、俺が心配だから」
俺が側で、守ってあげたいと。
ゲームの間だけで良いから、側にいたいと。

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