…こんな俺のために、
身体張って、俺を守ってくれた。
やばい、泣きそう…
マジでカッコ悪いよ、俺。
ギュッと目を瞑って、さっきよりも強く明菜を抱きしめた。
抱きしめる力を強めた俺の腕の中で、明菜は何も言わずに黙っていてくれた。
どれくらい、時間がたったのか。
俺はそっと、明菜から手を離した。
「…保健室、行くか」
その言葉に、明菜は小さく頷いて。
少しだけ、足を引きずるように動き始めた。
…そっか、足。
怪我してるんだっけ。
「…ん。」
保健室までは結構な距離がある。
どうすれば良いのか、考えた結果。
俺は、一度チラッと視線を向けて明菜に背を向けると足元にしゃがみ込んだ。
「…ん?」
俺の行為に、訳が分からない、といった様子で明菜が首をかしげる。
…いや、普通こんな格好してたら分かるだろ。
と心の中で突っ込みながら。
もう一度、明菜に「ん。」と声をかけた。

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