『…偉そうなこと言わないでよ!
アンタなんかに何が分かるっていうの…?
慎吾のゲームの相手でしかない…アンタが…!』
「…じゃあ俺の外見にしか興味がない、樹里こそ俺の何を知ってるっていうの?」
その瞬間、樹里が驚いた表情を浮かべて振り返った。
と同時に、明菜も顔を上げて俺と視線が絡む。
『し、慎吾…!』
「…松下、先輩…」
驚いた表情を浮かべたままの樹里の横を何も言わず通り過ぎ、座り込んだままの明菜の前にしゃがんだ。
「ちょっと明菜に用あって、教室行ったらいなかったから。
クラスのヤツに聞いたら、“先輩が手紙あげたんじゃないんですか?”って言われたから、…心配になって来てみたんだ」
「そう、なんですか…」
小さな声でそうつぶやいて、明菜は俯いた。
その肩が、小さく震えていて。
…俺の、せいで。
「――…樹里」
俺の声に、背中を向けたままの樹里の肩がビクリと揺れた。

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