――え?

ちょっと待って…どういう、意味?

…頭が、ついていかない。


そこで電話を切った先輩の視線が、再びあたしへと向けられる。





「…で、話ってなに?」





すごく長く感じたけれど、実際に先輩があたしの方を向きなおして…過ぎた時間はきっと数分。


黙ってうつむいたまま、一向に何も話さないあたしに、先輩はそう訊ねた。


言葉を急かされるようにそう言われて、あたしはゆっくりと顔を上げる。
しぼり出すように発した声が震えているのが、自分でも分かった。





「…先輩、今の電話…」





あたしはただ、知りたかった。

何も知らなくて。
ただ、ただ先輩のことが好きなだけで。





「ああ、…そういうこと」





そう言って先輩は、クスリと笑った。

どこか悲しげで、どこか冷たい…そんな表情で。





「……アンタも、俺にそれを頼みに来たわけだ?」