“…っ賭けでも何でもしてやろうじゃない!
あたしは絶対、先輩みたいな人になんて落とされない!”
どうしてあたし、
あんなこと言っちゃったんだろう…
なんで、ゲームなんて始めたんだろう。
「…はあ」
『あー、明菜っ。
ため息つくと幸せ逃げるよ?』
「幸せじゃないからいいもん」
『はあー?
明菜、あの松下先輩と付き合えたことが、どれだけ幸せなことか分かってんの?』
屁理屈ばかりこねるあたしに、歩は困ったような表情を浮かべてそう言った。
…分かってるよ。
普通に付き合えてたら、きっと死ぬほど幸せだったと思う。
だけど…
それが、“ゲーム”だから。
だから、辛い。
先輩に触れられる距離にいるのに、遠く感じて…切なくなる。
『あ。
もうチャイム鳴るから、あたし席戻るね。
あとでまた話聞くからっ!』
「うん、ありがと」
歩が自分の席に戻ってから、あたしも自分の席についた。

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)