“…っ賭けでも何でもしてやろうじゃない!
あたしは絶対、先輩みたいな人になんて落とされない!”


どうしてあたし、
あんなこと言っちゃったんだろう…

なんで、ゲームなんて始めたんだろう。





「…はあ」



『あー、明菜っ。
ため息つくと幸せ逃げるよ?』



「幸せじゃないからいいもん」



『はあー?
明菜、あの松下先輩と付き合えたことが、どれだけ幸せなことか分かってんの?』





屁理屈ばかりこねるあたしに、歩は困ったような表情を浮かべてそう言った。


…分かってるよ。
普通に付き合えてたら、きっと死ぬほど幸せだったと思う。


だけど…
それが、“ゲーム”だから。

だから、辛い。
先輩に触れられる距離にいるのに、遠く感じて…切なくなる。





『あ。
もうチャイム鳴るから、あたし席戻るね。

あとでまた話聞くからっ!』



「うん、ありがと」





歩が自分の席に戻ってから、あたしも自分の席についた。