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『あーっ明菜いた!

もう、どこ行ってたのよー!?
いきなり先輩とどっか行っちゃったまま戻って来ないから、あたし心配してたんだよ?

3年生の先輩たちに連れて行かれちゃったんじゃないかと思って』





教室に戻ったあたしに、
気付いた歩は席を立ってあたしの所へと近付いて来た。

その顔は、本当に安心したような表情で。


迷惑、かけちゃったね。





「あ…
…ごめん、メールすれば良かったね」





あたしは「ごめん」と手を合わせて、歩に返事をした。

そう言ったあたしの顔を、歩が下から覗き込んできて。





『ほんとに先輩たちに呼び出されたりしてないよね?』





そう、言ってくれた。

あたしは、それが嬉しくて。





「歩~愛してるっ」





あたしは勢い良く歩へと抱き付いた。
そんなあたしに、歩も『あたしもー』と言いながら抱きついてくれた。





「ほんとに大丈夫だよ。
ありがとね」