「…あ、」
あたしが窓から外を見ていると、ちょうど松下先輩が階段を降りているのが見えた。
胸が、急にドキドキと高鳴り始める。
今、言っちゃおうかな…?
せっかく一人でいるんだし…このチャンスを逃したら、もう言える機会はいつになるか分からない。
そう考えたあたしは、決意が変わらないうちに急いで階段を駆け降りた。
「…先輩っ、松下先輩…!」
階段を一気に駆け降り、歩き始めた背中に精一杯の声で呼びかけると、それに気付いた先輩がゆっくりと振り向いた。
「…なに?俺に何か用?」
あの日以来…
初めて、先輩の声を間近で聞いた。
また、さらにドキドキと胸が高鳴る。
「あ、あの…あたし…っ」
そこまで言ったところで、突然鳴り始めた音に思わず口をつぐむ。
鳴っているのは先輩の携帯で、あたしはチラッと視線をそっちに向けた。

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