「…っし、慎吾何して…」



「膝枕」





しれっと当たり前のように答える松下先輩に、あたしも思わず黙り込んでしまう。


…それくらいは、あたしだって見れば分かります。
分かるんだけど…っ!


ぺたりと頬を押さえると、
案の定あたしの頬は熱くてきっと誰が見たって分かるくらい真っ赤に染まっているだろう。


…は、恥ずかしい…

それに相手が松下先輩だなんて…





「なんかさあ、」





あたしの足の上に転がった状態で。
先輩は眠そうな声で小さくつぶやいた。





「…え?」



「なんか…明菜、いい匂いする」



「―…っ!?」





あたしの反応を楽しんでいるだけなのか。

あたふたしているあたしをよそに、先輩は小さくクスクスと笑った。


――ほんと、意味わかんない。

あたしばっかり先輩に振り回されて、ドキドキさせられて…


――…悔しい、よ。





「明菜」





先輩はあたしの名前を呼ぶと、軽く寝返りを打つようにして顔をあたしの方へと向けた。