ゆっくりと先輩の側へと近寄って、腰を下ろす。

先輩は。
あたしが座ったのを確認して、身体を起こすと――…





「よ…っと」



「―えっ、…ちょ」





身体を起こしたと思うと、先輩はまたすぐに横になった。

あろうことか、あたしの足を枕にして、だ。





「せ…っ、先輩…!?」





こ、これって…
もしかして膝枕とか言うやつ!?

突然の出来事に、かなり動揺しているのが自分でも分かる。

ど、どうしよう…
あたし今、絶対顔真っ赤だよ…!





「せ、せせ先輩…!
いきなり何してっ…」



「…だから、さっきから何回も言ってんだろ。

先輩、じゃなくて」





そう言って、
松下先輩はあたしの顔へと真っ直ぐに視線を向けた。

その目に、表情に、
あたしの全部が、ドキドキと鼓動を鳴らす。





「…慎吾、だろ」





――ああ、もう。

この人はあたしをどれだけ惑わせば。

どれだけドキドキさせたら気が済むんだろう。