『アンタ一体何したわけ?
…結構腫れてるし、なにが“大丈夫です”だよ。
あのまま帰ってたら、アンタ確実に病院行きだったぞ』
ぶつぶつと呟きながら、意外にも慣れた手つきであたしの足首に湿布を貼ってくれた。
『…冷た…っ』
『アンタ、バカ?
冷たくなかったら湿布の意味ねえだろうが』
そう言って、あたしを見上げてクスクスと笑う。
あたしはその笑顔に、不覚にも一目惚れをしてしまったんだ。
『よし、完了。
じゃあ気ぃつけて戻れよ』
湿布を貼った上から包帯を巻き手当てが終わって、その人はそう言って立ち上がると、あたしに背を向け再びベッドの方へと歩き始めた。
そして、ベッドのカーテンに手をかけた時。
『…あの!
手当てしてくれて、ありがとうございました!
…良かったら名前、教えてもらえませんか…!?』

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.759/img/book/genre1.png)