恋愛ゲーム



「…行くぞ、明菜」



「~~っんん、んーっ(離せーっ)」





先輩はあたしの口を手で塞いだまま、ズルズルと引っ張って行く。
あまりにもスタスタ歩いていくから、あたしは足が縺れて転びそうになる。


ボスッ!





「ぶっ!?」





って、スタスタ歩いていくかと思えばいきなり立ち止まるのかよっ。
この人は何なの、一体!?


立ち止まっても、未だに口は塞がれたままで。

そしたら急に、先輩がヒョイとあたしの顔を覗き込んで来た。



…な、なに…?





「…さっさと歩けよ、トロい」





なっ…!?な…っな…!

はあ、とめんどくさそうにため息を付いて、先輩はまたあたしを引っ張って歩き出す。


な、何なの…何なのこの男っ!

人のイメージどんだけ崩してくれれば気が済むのよ!


こんな人だったなんてっ…
あたしの片想い歴4ヵ月返してよ!バカ!