「…行くぞ、明菜」
「~~っんん、んーっ(離せーっ)」
先輩はあたしの口を手で塞いだまま、ズルズルと引っ張って行く。
あまりにもスタスタ歩いていくから、あたしは足が縺れて転びそうになる。
ボスッ!
「ぶっ!?」
って、スタスタ歩いていくかと思えばいきなり立ち止まるのかよっ。
この人は何なの、一体!?
立ち止まっても、未だに口は塞がれたままで。
そしたら急に、先輩がヒョイとあたしの顔を覗き込んで来た。
…な、なに…?
「…さっさと歩けよ、トロい」
なっ…!?な…っな…!
はあ、とめんどくさそうにため息を付いて、先輩はまたあたしを引っ張って歩き出す。
な、何なの…何なのこの男っ!
人のイメージどんだけ崩してくれれば気が済むのよ!
こんな人だったなんてっ…
あたしの片想い歴4ヵ月返してよ!バカ!

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre1.png)