『あっ…いえ!
全然大丈夫なんで!あたしはこれで失礼します…っ』





そう言って立ち上がろうとしたあたしに、伸ばされた腕。





『…おい、ちょっと待てよ』





いきなり手首を掴まれて、思わずビクリと肩が揺れる。

そんなあたしの肩を押して、その男の人はもう一度、あたしを座っていた椅子へとしっかりと座らせた。





『…え?』





突然の出来事に、あたしはつい呆然として男の人の顔を見上げた。

その瞬間、温かくて大きなモノがあたしの頭へと触れた。





『ケガ、してんだろ?アンタ。
手当てしてやっから、ちょっと座って待ってろ』





そう言われて、自分の頭へと触れていたものが男の人の手だということに気付いた。

触れていた手が離れて、同時に男の人があたしに背を向ける。


目の前の棚から湿布と包帯を手に取って、今度は目の前にしゃがみ込んだ。