「ふあ…眠っ…」





次の日。

あたしは校門の前で、手で口を隠すこともなく大きなあくびを一つした。


…眠い。
なんか昨日1日だけで、いろんなことがありすぎて…実際、あまり眠れなかった。


しかも。


“キスくらい、してやっても良いけど?”


ずっと大好きだった、

ずっとずっと憧れてた、


あんなに優しくて、あんなに無邪気な笑顔を見せてくれた。


そんな松下先輩が、あんな人だったなんて…





「はあ…」





今度は一つ、大きなため息が漏れる。
昨日のことを思い出してしまって、涙まで出そうになってしまった。





『ちょっと!明菜っ』



「ん?あ、歩じゃん。おはよー」





ちょうど歩き出して校門を通り過ぎたところで、同じクラスの歩[アユム]に声をかけられた。

歩は何やら急いでいる様子で、あたしの方に向かって走って来る。


そのまま、グイッと強く腕を掴まれた。