何、なんだよ…
人の心、見透かしたようなことばっかり言いやがって。

人の心、…惑わせるようなことばっかり言いやがって。





「…ざけんなよ…」





…こんな女、初めてだ。

寝ている明菜の方へと、視線を向ける。



“…がんば、れ…”



ふざけんな。

ふざけんな。

ふざけんなよ。

自分だって、いっぱい泣いたはずなのに。
自分だって、いっぱい傷付けられたはずなのに…


俺、明菜のこと傷付けたはずなのに――…





「…ありがとな」





そのままそっと、
明菜の首筋に唇で触れた。

強く吸うと――…白い首筋に残っている、真っ赤な痕。


もう一度、今度は明菜の唇にキスをして。
俺は保健室を出て行った。


そのまま俺は、樹里と約束をしている屋上に向かって歩いた。


明菜。
――ありがとう、ごめんな。

俺…頑張ってくるから。