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「…ごめんな」




保健室のベッドですやすやと眠ってしまった明菜の顔を見ながら、
そっと頭を撫でた。

俺のせいで、いっぱい泣かせちゃったな…


眠っている明菜の頬には、涙の後が残っている。
俺は、明菜の頬に残った涙の後を指で軽くこすった。





「…ごめんな、明菜」





俺が弱いせいで…
明菜を傷付けて、…ごめんな。


静かに眠る明菜の顔を見ながらベッドから身体を起こすと、ポケットから携帯を取り出した。



…ちゃんと、言わなきゃな。
樹里にも、――明菜にも。





「――…あ、樹里?
ちょっと、話したいことあんだけど…」





電話で時間と場所の約束をした後。
電話を切って、俺はもう一度明菜の頬に触れた。

俺、ちゃんと明菜に気持ち伝えるから。


だからそれまで――…
待ってて欲しいんだ。



受け止めてもらえるかは、分からないけれど。
上手く伝えられるかは、分からないけれど。