「…泣くなよ…

ずっと俺が側にいてやっから。…な?」





あまりにも優しくて。

あまりにも、苦しくて。


何度も何度も、唇を重ねた。

何度も何度も、名前を呼ばれた。


その、温もりが。声が。

愛おしくて、仕方ない。

涙が出る程苦しくて、愛おしくて。
いろいろな感情が心の中でぐるぐると混ざり合い、涙として外へと溢れ出してくる。



――…嘘つき。

 ・・・ 
“ずっと”
側には、いてくれないくせに。

 ・・・ 
“ずっと”
側には、いられないくせに。


それでも…
その嘘を信じてしまう、あたしがいる。





「…好きだ、」





頭の中の遠くで聞こえた気がした、先輩の声。


…嘘つき、嘘つき、嘘つき。

あたしは先輩なんて嫌い。

先輩なんて、…大嫌い。




――…違う。
嘘つきは、あたしの方だ。





“…大好き”





薄れていく意識の中、
そう、心の中でつぶやいた。